きっとお父様やお母様がしてくれたことだろう。
16歳になるまで長い間祈り続けてくれたのだろうか…。

そう思うと嬉しさ胸がいっぱいになって少しきゅっと締め付けられる感覚になる。



「今夜の夕食の時にでもきちんとお父様とお母様にお礼を言うわ」


「はい。きっと喜ばれると思いますよ」



初めて会った時から思っていたけど、私は恵まれた環境にいるんだなぁと実感した。
ここへ来るまでは勝手なイメージだけど、大帝国の皇帝と皇后なんて家族としての感情はないと思っていたし、ましてや女の皇女なんて利用価値のない存在だと思っていたから…。

でも私を愛し続けてくれる家族がいたことは本当に嬉しいことだ。


その代わり大陸を統べる国、オーフェリア帝国唯一の皇女という立場は普通の王国の王女よりも立場は上だし、重責がある。

それが最初に試されるのは1週間後に迫ったパーティー。
また明日からは気を引き締めていかないと。




「(あ…そういえばあのエヴァンと言った男の人…)」




ラナにその人と会ったことを伝えようと思ったけれど、特に会話らしい会話もしていなかったので話すのはやめることにした。

これ以上心配かけるのも何だか悪いし…。


でも気になることが1つ。


あの人はゴールドヘアをわざわざ見に来たのかな…?
あの木の意味を知ってるの…?
だからあんな風に触るななんて言ったのかな…。

それともただ単に私が怪しい者にでも見えた?


そんないろんなもやもやを抱えたままその日は眠りに落ちるのだった──────。