男女問わず優しくて凛々しい木村は生徒からも慕われている。

先生の人気ランキングがあったら間違いなく一位になるはずだ。

雅彦も木村に相談していたと言っていたから、きっといい方向に向かうだろう。あまり考えないようにしよう。環奈はそう思いながら、美玖とペアを組み、練習をしていた。

環奈はそっと、麗羅たちを見る。三人で集まり、頭をくっつけ、なにやら話している。

きっと、どうやって自分にボールを当てようかと考えているのだろう。環奈はそう思い、ギュッと奥歯を噛みしめた。

負けない、と決めたものの、学校生活をクモの巣のように神経を張り巡らすのはとても疲れる。

とりあえず今はこの体育の時間を乗り切ることだけを考えよう。環奈が自分を励ましていた時だった。