会う場所はもっぱら雅彦の家で、雅彦の母がいつも笑顔で出迎えてくれた。
雅彦の母は明るくて話しやすく、夕飯を何度もごちそうになっていた。

「私、娘が欲しかったの。だから環奈ちゃんが来てくれてうれしい」

雅彦の母はそう言ってくれるの、環奈も嬉しかった。

雅彦とは少し進展があった。地元の花火大会に行き、神社の境内で雅彦とキスをしたのだ。唇と唇が微かに触れ合う柔らかなキス。りんご飴を食べたあとだったので、甘い味のするキスだった。

話にしか聞いたことがないが、これより先に進んだら、どうしよう。でも雅彦となら……と環奈が色々考えていると、雅彦が頭を優しく撫でてくれた。

「おれ、ほんと環奈のこと大事にしていきたいから、今はキスまでしかしないよ」

その言葉に環奈は、ほっとした。雅彦のことは好きだが、キスより先となると、まだ心の準備ができていない。