あの子は生まれ変わった先でどうなってしまうのか。このままでは不安な毎日を過ごすことになるだろう。そんなのはごめんだ。
 あたしは妹の裾を咥えて引っ張った。

「ちょっと、あたしも同じ世界に転生させなさい」

「今すぐには無理ですよ~姉上様の寿命、あと五年ほど残ってるんですから~」

「こんな時だけ真面目に仕事してんじゃないわよ!」

 悔しいけれど、こればかりは妹が正しい。妹は憎いけど、女神として公正に振る舞おうとする妹を咎めるわけにはいかなかった。悔しさを胸に現世へと戻ったあたしは、大切な娘を失った家族に寄り添い生きることを決めたの。

 そうして天寿を全うし、あたしは五年ぶりに妹と再会した。そして開口一番、仕事を急がせたわ。

「さあ! 早くさーちゃんと同じ世界に転生させなさい!」

 鼻息荒く詰め寄るあたしに妹は言った。やや申し訳なさそうにね。

「僭越ながら、姉上様。そのお姿で行かれるおつもりですか?」

「そうだけど?」

「残念ながらかの世界にその犬種は存在しません。別の個体に転生していただきたいのですが……」

「はあ!? あんたこんな時だけ真面目に仕事するんじゃないわよ!」

「し、失礼な! 私は、いつでも仕事に対して真面目に取り組んで」

「そういうのいいから!」

 ばっさりと切り捨てて、あたしは妹と議論を続けたわ。