『まあ、でも、藍里が永瀬を好きになれて良かった。この前会ったままの状態だと、心配すぎて安心して赤ちゃん生めないもの』

「うん、それは私も本当に良かったと思う。でも、私の心配よりも自分のこと考えててよ?」

『それを藍里が言う?』

何かあっても“大丈夫”としか言わないで、我慢ばかりする藍里が。とケラケラ笑いながら言われ、昨日智大にも同じようなことを言われて笑われたのを思い出すと、どこか腑に落ちなかった。

『まあ、これからは心置きなく永瀬に藍里のこと任せられるわね』

安心したような声で言われ、藍里は千栄に長い間心配させていたことを感じとり、そっと目を閉じた。

「うん……もう大丈夫。ありがと、千栄」

『親友だもん、当然じゃない』

朗らかに笑って答える千栄に、藍里はクスッと笑う。
学生時代から千栄のサバサバした性格にずっと助けられてきたことを思い出し、藍里は心から千栄に感謝した。

『藍里、最後に一つだけ聞くわ。永瀬にも誰にも言えなくて困ってることはない?』

「…………本当は、一つだけあるの」

言おうかどうしようか悩んだけれど、親友だと言ってくれた千栄に嘘をつくことが出来ず、正直に悩みがあると伝えた。