ケータイ小説 野いちご

【完】君に惚れた僕の負け。


どんっと胸を突き飛ばすと、ようやく正常な距離感……。



「はぁ……もう、やめてよ……」



へなへな声の間抜けでかっこつかないあたしの声は小さくなって消えていく。



そんなあたしを朱里くんは楽しそうに、だけど意地悪っぽく笑って言うの。



「あ、箸あったわ。いつの間にかポケットに入ってたよね。ごめんごめん」



――かちゃん、かちゃん。




朱里くんのにぎる箸箱があたしの目の前で左右に振られた。



あたしの目はまんまるに次第に大きく見開かれていく。




「――!ぜったい隠してたでしょ……!」




朱里くんのばかぁ!!





4.忘れんぼうの朱里くん
(箸は一膳あればじゅうぶんだよね)

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