「鷹島先輩って、
プライベートが謎に包まれてるのも、
またいいんだよね」


「そうなの、そうなの!」


……そうなの?


「家の場所とか、
詳しいことを知ってるひとは
ほとんどいないんだよね。

中学まで
インターナショナルスクールに
通ってたっていうのは

聞いたことがあるけど」


「すごいよねっ、
鷹島先輩の編入が決まって、
サッカー部顧問の青木先生、
うれし泣きしたらしいから!」


ふたりの話を黙って聞いていた。


「羽衣、 
なんにも知らないんだね?」


ほんとに、その通り。

同じ学校に通ってるのに
どうしてこんなに
知らないことだらけなんだろう?


「今度さ、鷹島先輩のいる
サッカー部の練習、
3人で見に行ってみようよ」


「あ、それ、いいね!」


知らない話の連続に驚きすぎて、
途中から思考が完全停止。 


盛り上がっているふたりの話を、
上の空で聞いていた。