ーーバシッ。


恋々の手を払って、立ち上がった。


「もういい、時間切れ」



恋々に背を向け、秒でネクタイを自分でしめる。


熱くなってく顔なんて見られたくないから、恋々の方は絶対向かない。



玄関へ歩き始めた。


「朱里くん、自分でできるんじゃん……!」


おっかけてくる怒りっぽい声。


「100回失敗してるとこ見て学んだんだよ」


「ぜったいうそ!」


「いいから急げよ。何時だと思ってんの?」



「朱里くんのせいでしょうがぁ……!」



別に遅刻したっていいけどね。



どうせ俺のクラスに、恋々はいないんだから。






2.俺を好きになってよ
(そしたら溺愛してあげるのに)