あたしと真仁の密会は馴れたものだった。


あたしは寮のみんなが寝静まった頃を見計らって、真仁にメッセージを送る。


真仁はそれを合図に男子寮を抜け出して、こちらへ来るだけだった。


あとは鍵を開けてあるあたしの部屋から入ってくればいいだけ。


「真仁を部屋に呼んでなにしてたの?」


あたしの説明を聞いた後、亜沙美がニヤニヤとした笑みを浮かべてそう質問してきた。


「そんなのやることなんてひとつに決まってんじゃん」


瞳が横からあたしをつついて言う。


「ほんっと好きだよね知枝って」


「なに言ってんの。あたしたち今が一番旬なんだよ? 高校を卒業して制服を脱いだらただの人間になっちゃう。そこから先はババァになるだけ」


「あはは! 知枝らしい考え方だね。そういうの嫌いじゃないけど」


亜沙美はそう言って笑った。


年を取っていたって綺麗な女性は沢山いる。


だけど、今のあたしにとっては、今のあたしこそ一番なんだ。


生きているか死んでいるかもわからない未来の自分が魅力的かどうかなんて、考えたこともない。


「とにかく、今日はみんなで楽しもうよ」


瞳はそう言ってウインクしたのだった。