「一年って結婚した頃くらいか?上手くいってなかったのか?」

「始めから……上手くいくはずがなかったんです」

後悔が滲んでいるようなその声に胸が締め付けられるような感じがした。
暫く相手は無言だったが椅子か何かを引いてベッドの近くに座ったらしく、詳しく話せ。と真剣な声色で言った。

「まさかと思ってたんだが、一週間やそこらで人間の体がここまで痩せ細ることはない。
……場合によってはお前の処分も考えないとならないが……正義感の強いお前がDVとかじゃないよな?」

「誓ってそうじゃないと言えます。……俺自身としては、ですが……。長くなります、聞いてもらえますか?」

「ああ、話せ」

智大は握った藍里の手を自分の額に当てたようで、さらさらとした髪が手に当たって少しくすぐったかった。
それから暫くして、まるで懺悔のように語られる智大の話は藍里にとって想定外で、口も開けないのに言葉を失うような話だった。