この声を聞くと体の自由が利かなくなる。


正確にいうと、官能的な志勇の呼びかけに、体の力が抜けてしまうんだ。



一瞬まぶたを閉じると、目を開けたときにはもう志勇の腕の中。


いつもの志勇のにおいがしてとても心が安らぐ。


志勇は抱きしめていた身体を離すと、大きな手でわたしの頬を包んだ。


例えようのない幸福感と、奥深くでうずく本能。


どうやらわたしの本能は、彼に抱かれたいと、その気持ちが抑えきれていないらしい。


体のうずきはそれによるものだった。






「この傷が癒えて、その腕に『絆』を刻んだら……」



志勇は幸せに浸っているわたしの目を見てはっきりと言葉にした。







「お前を俺にくれ」