すると─── 「……っ!?」 「ん、いい子。さっきまで怒ってたくせに、今は怖がってんのな」 彼は私の背中に手を回して、優しく抱き寄せてきた。 「ほら、もう家出る時間だろ? 今日も勉強頑張ってくるんだぞ」 「……うん」 紘毅くんには敵わない。 今日もドキドキさせられて、言葉だけでなく行動でも負かされて。 熱くなる顔を手で数回仰いだ後、ブレザーを羽織り外へ出た。 『行ってきます』の言葉を添えて───