…浮かれていた。

…調子に乗っていた。


心の中央に、冷たい感情を落とす。



「掃除はこのくらいでいい?わたし戻りたいのだけど」

「…っ、あぁごめん。助かった」

「いいえ。ひなにちゃんと謝りに行ってくるね」



下がってきためがねを一度上げてから

高見くんにゆっくりと微笑む。


彼はわたしの無機質な声色を感じ取ったのか、それ以上何も言うことはなかった。




携帯が震える。


『着信:白石希帆』


――ブチッ



わたしは、伊織との未来が在ればそれでいい。