「……ん…、ふ…ぁ…っ」 伊織の男らしい武骨な手が、わたしを包み込むように触れて 唇は甘く魅惑的に噛まれ、言葉と抵抗を静かに奪っていった。 いつだって優しいその瞳は、熱を帯びると途端に扇情的でくすぐったい。 「………。」 「…い、おり…っ?」 ――…その手と雰囲気が止まるのも、早かった。 「…。紗和、今日ずっと浮かない顔してる」 「え…、」 「学校で何かあった?」