自分の胸から、ドクドクドクッと不整脈みたいな音がする。

顔がじわっとあつくなって、触れた肩に意識が集中して、無意識に呼吸も止めてしまった。




西野遥日、17歳。

『顔は極上、性格は最悪』

学校内で超有名。



とにかくとにかく、顔が良すぎる。

上下、左右、斜め、どの角度から見ても完璧で、私も密やかながら西野遥日の顔ファンだったりするわけで……。

だめだ、思考回路ショートしそう……っ。



「ねー、名前なんだっけ」

「へっ?」

「なんか俺と同じクラスだったよーな……」



西野くんが私を見てる。
私は、微妙に視線をずらしながら西野くんを見る。



「うん。同じクラスだよ」

「あーやっぱり。見たことあると思った」



なんか、棒読み。
雰囲気どおりの気だるい口調。

ていうか私、同じクラスなのに名前すら認識されてなかったの?



「で、名前なんだっけ」

「……菊本利奈」

「きくもと、りな……」



なぞるように、ゆっくりと復唱された。