甲冑姿の武士達が揃えて火縄銃を撃った。
バンッと大きな音を立てて撃つ姿は、破壊力が凄く
一瞬びっくりしてしまうほどだった。
凄い……あんなのが戦国中では、当たり前のように
撃たれていたのだろう。
まるで戦国時代にタイムスリップしたよう気分だった。

すると向こうの方から賑やかな歓声が聞こえてきた。
何だろうか?と見たら信長行列だった。
信長役は、これもまた人気俳優の高田孝則さんだ。
ちょんまげに少し変わった服をはだけた姿で馬に乗っていた。
口髭がまた信長らしい。
渋い感じで迫力もあるカッコ良さだった。

続けてまたまた凄い悲鳴が。
すると美紀子さんもキャアキャアとはしゃいでいた。
お待ちかねの明智光秀役の小嶋旬だ。
こちらは、甲冑姿でキリッとした感じだった。
間近で見ると確かにカッコいい……。
背が高く馬に乗っている姿も様になっていた。

これは、人気なのも頷ける。
私は、チラッと隣を見ると翔馬君もすげぇーと
目を輝かせていた。フフッ……可愛い。
涼太君は、スマホので写メを撮ろうとするし
お兄さんは、カメラで撮ろうとしていた。
やっぱり兄弟なのか似ている……。

村瀬君は、璃空君が見えやすいように
肩車をしてあげていた。前には、朔斗君が居た。
こちらは、いいお兄さんって感じだ。
フフッ……こちらも可愛らしい。

私は、クスクスと笑っていると翔馬君が
何を思ったか手を繋いできた。えっ?
私は、いきなり繋がれたから驚いて翔馬君を見た。
するとまた不機嫌な表情になっていた。

「……あんまり見るなよ……」

「えっ?翔馬君?」

ボソッと呟く翔馬君。
私は、その意味が分からなかった。
だがギュッと私の手を握る翔馬君の手は、
あたたかくてドキドキした。
あ、もしかしてヤキモチ妬いているのだろうか?
私が村瀬君を見てたりしたから……。

美紀子さんの言葉を思い出した。
そうなのか分からないけど、もしヤキモチなら
心配しなくてもいいのに。
だって私は、好きなのは……翔馬君だけなんだし。

「大丈夫だよ……翔馬君。
私は、翔馬君しか見ていないから」

自惚れかもしれないけど……私は、そう答えた。
翔馬君は、驚いて私の方を見た。
あ、やっぱりそうだと確信した。すると翔馬君は、
照れたように笑いかけてくれた。

ほら。だって私は、翔馬君のこの笑顔が好きだから。
お互いにヤキモチ妬いたり照れたり忙しい。
それでも一緒に居たいと思うのは、やっぱり
好きだからだろう……。
私達は、ギュッとお互いを意識しながら
手を繋いで信長まつりを見ていたのだった。