かなり登ったからか、一本道にも関わらず、随分と長く下った。

 やっぱり戻ろうかなと思いつつも、またこの石段を登るのが嫌で、綺麗な手すりに手をかけながら、不安定な道を進み続けた。

 影はまだ短いから大丈夫だろうと、どこかで自分に言い聞かせていたのかもしれない。

 石段も終わりを迎え、そこから先は、地面も舗装されていない湿った獣道が延びている。

 足の痛みや冷たい風、火照った体のことなんて忘れていた。ただこの先にあるものの正体を知りたいだけ。

 そうして行きついたのは、ものすごく小さな神社のようなところ。

『チリリン―――』

 その白い鳥居の向こうから、今度ははっきりと、あの音が聞こえてきた。風の音じゃない、何か別の自然の声。


私はそれに吸い寄せられるように鳥居をくぐった。

「……え?」

プツンと電気が切れたのかと思った。
突然辺りは真っ暗になって、前も後ろもわからない。

目を開けているのか閉じているのかもわからず、私は闇の中で意識を失った。