「やっほー! お疲れ様。お店は順調?」


「うん、順調だよ」


「あ、心音ちゃん、学ラン貸してくれてどうもありがとね」


「いえいえ。借りものなんだけど、お役に立てて良かった」


その子には先日椿くんの学ランを貸したばかりなんだけど、衣装に困っていたみたいだったからすごく感謝されて、それ以来よく話しかけてくれるようになったんだ。


「はい。これ、イチゴバナナ」


私がトッピングしたクレープを手渡すと、彼女は笑顔でそれを受け取る。


「ありがと!」


「あ、トッピングちょっとサービスしたよ」


「ほんとに? 嬉しい! うちら劇頑張るから、見に来てねっ!」


元気よく手を振りながら去っていく演劇部の子たちに自分も手を振り返す。


すると、その様子を見ていた彩実ちゃんがまた声をかけてきた。


「椿くん、学ラン貸してくれたんだって? よかったね」


「うん。ちょうどこの前帰り道にお願いしてみたら、椿くんがいいよって言ってくれたから、そのまま家まで取りに行かせてもらったんだ」