私がなんて答えたらいいかわからず濁したら、ふと椿くんが窓の外を見ながらボソッと呟く。


「……なんて、ほんとはよくねぇけど」


あれ? 今、なんて……。


するとそこで、椿くんが急にこちらを向いたかと思うと、テーブルの上に置いた私の片手に手を重ね、ギュッと握ってきて。


「そいつの話はもうやめよ」


「えっ?」


そのまま私の目をじっと見つめながら。


「やっぱ俺、心音の口から他の男の話は聞きたくねぇわ」


「……っ」


彼の口から飛び出してきた思いがけないセリフに、心臓がドクンと勢いよく飛び跳ねた。


ウ、ウソ……。ちょっと待って。それは、どういう意味なんだろう?


椿くん、本気で言ってるのかな?


ふと、この前優里亜ちゃんに言われた言葉を思い出す。


『どうする~? ヤキモチ焼かれちゃったりしたら』


なんだかまるで本当にヤキモチを焼かれているみたいで、ものすごくドキドキしてしまった。


まさかね。冗談だよ、ね……?


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