委員長との生中継を終えて、学校の学園祭でデコレーションされた門の前に立つ。

「…だるいし帰るか」

ここまで来たし良いだろう、実質登校はしたし。うん。
くるりと身体を回転させ、帰路につこうとしたとき。

「…?なんかきもちわる…」

ぞわぁ…っと悪寒のようなものが背筋を走る。次の瞬間、僕の耳スレスレで何かが豪速球で通り過ぎた。そして目の前でコンクリートにめり込む。そりゃもうSFのように。ついでに振動と爆音と衝撃が凄かった。

「…っだぁ!!いってーなオイ!」

コンクリートの中から白髪の男がムクリと起き上がる。なんだアレ、ダサすぎるだろあのジャージ。

「…あ?なんだよ、見せもんじゃねぇぞ」

昭和の不良感満載なその男はギロリとこちらを睨めつけるとペッと血が混ざった唾液を吐き捨てる。うわぁめちゃくちゃ1世紀前の不良じゃん…。

「コラー!逃げるなばかぁ!ちひろ追いかけるの大変なんだからねっ!」

そんなロリ声と共にパタパタと足音軽く、まるで魔法少女のような青い髪のロリ…もとい10歳くらいの少女がこちらに走ってきた。

「オメーが吹っ飛ばしたんだろうが!それに俺はそのー、なんだぁ…闇堕ち英雄?じゃねぇよ!どう見たって吸血鬼だろうが!!」

え、こいつ怖。自分のこと吸血鬼って言ってるの?電波系?もしかして電波系なの?

「エビオじゃないならなんでお前あんなところにいたんだよぉ!てゆーかちひろエビオの顔知らないもん!変な格好した変なやつってしか運営に言われてないもん!」

「俺がその変な格好した変なやつだと言いたいのか!?このおしゃんてぃなジャージ見ても言えんのか!!」

「ちょっと待て」

二人の間に謎の世界が出来上がりつつあったので思わず口を挟んでしまった。
オイオイ俺よ、ここは逃げる一択だろうが。なんで口を挟んだ??もう自分が分からない…。

とりあえず口を挟んでしまったので思い切って聞きたいことを聞いてみる。

「聞きたいことがいくつかある。まずそこの自称吸血鬼、お前何者なの?」

「俺は吸血鬼葛葉だ。てか自称じゃねぇよ!立派な吸血鬼だ!ほら!」

葛葉と名乗った男はバッサァと背中からコウモリのような翼を生やしてみせた。おいおいSFか?こんなのありかよ…。

「わ、わかったからそれしまえ。えっと…じゃあそこのお嬢ちゃんは?名前と歳とあと出来れば僕のことをお兄ちゃんって言っt」

「気持ちわるいなお前!勇気ちひろだよぉ、魔法でこんなだけど本当はもっと身長あるんだからね!魔法少女やってるんだぁ」

え何、毒舌系のロリ?

「おいちひろ!」

「なんだよぉうるさいなお前!また吹っ飛ばされたいのかぁ?」

「すみませんちひろさん、わたくしめから1つ提案がございますのよ(?)」

おい敬語不自由かよ。

「なんだぁ、言ってみて!」

「この近くに俺の旧友がいましてね、それで___」