「お祖母ちゃん……」

「ようござったね。菜乃ちゃん。
大きくなって……」

「うん……もう。高2だからね」

振り向いたら祖母だった。
久しぶりに見る祖母は、小柄で華奢な人だった。
前に会った頃より少し小さくなったように見えたのは、
私が大きくなったからだろう。
私に会うなり笑顔で出迎えてくれた。

「そう……もう高校生なのね。
私が最後に会ったのは、小学生だったわね」

懐かしむようにそう言ってきた。
そう……前に会ったのは、小学生の頃だった。
あの時は、またイジメとかなくて楽しかったな。

「あのね……お祖母ちゃん」

「フフッ……話は後にしましょう。
疲れたでしょう?さぁ、バスに乗って帰ろう」

祖母は、それ以上何も聞かなかった。
きっと言いにくい私に気を遣ってくれたのだろう。
私は、頷き外に出ることにした。外に出ると
バスターミナルになっていた。
中心には、地面から飛び出す噴水に
黄金の織田信長の銅像が建てられていた。

「凄い……金ぴかだ!」

「菜乃ちゃん。こっち。
まずここでアユカを買いましょう」

驚いている私に祖母は、そう言い販売店に案内される。
アユカ……何それ?
私は、不思議そうに首を傾げた。

「アユカは、電子のマネーカードのことよ。
これからしばらく岐阜バスを利用するなら
買っておいた方がいいわ。
割り引きも出来るから……学生証ある?」

「あ、うん。」