瞳真への『想い』を忘れて、昔のように『仲間』でいられれば良い。
そこで、せっかくのオファー。
堂々と利用するカタチで、慎んでお受けすることにした。
『喜んで?俺の愛しいお姫様?』
…俺の愛しいお姫様って何よ。
キザなセリフ。
でも、蓑島くんが発してもそんなに違和感がないのが、さすが学校1のモテ男。
で、蓑島くんに、彼氏になってもらう。
で、傷付いた私を癒してもらう。
で、蓑島くんのことで頭をいっぱいにして。
で、瞳真のことは忘れる。
で…?
…しかし、この考え方はとても安易で。
私の行動は、結局衝動的だったということを理解したのは、あの後家に帰ってからだった。
後悔なんてしないよ。
…いやいや、後悔しまくり。
(…ああぁぁっ!)
ふと、した時に。
ふと、思い出しては悶える。
蓑島くんとの…あのキスを。
いやいや、唇は死守したんだ。
咄嗟に手が出て唇を覆って守った。
手挟みキス?
…だが、しかし。
そのバリケードとなった指にキスをされて。
指に…キスの感触が残ってしまった。
しかし、そのキスの感触が指からなかなか離れてくれない。
それに加えて、あの時、アップで迫ってきた蓑島くんのカッコよすぎる、あの顔を思い出してしまう。
蓑島くん…目を閉じていても、イケメンだった。
…ああぁぁっ!