「謝らなくてもいいのに」


「でも、通勤前に疲れちゃうでしょ?」


「お姫様を守るのは従者の務めですから」


「私がお姫様?」


「そう、俺だけの」


従者だなんてとんでもない。


朝から歯の浮くようなセリフを吐いても全然違和感の無い私の旦那様は、異世界から迷い込んだ王子様みたいにキラキラしている。


彼に守られて、くすぐったくなるくらいの尊い幸せを噛み締めた。


そして、こんな時はいつだって抑えきれない思いが溢れる。


「好き、先生」


「だから、こういう時に先生呼びしないで」


困ったように笑いながら私の髪を撫でる彼。


「だってー」