「蓑島くんと…何かあった?」



そこで私は、少し踏み入った質問を投げ掛けた。

まるで、カマをかけるというか、試すという…。



だけど、瞳真は慌てることも、表情を崩す様子もなく。



「…いや、別に。聞いてないならいい」



そう言って、瞳真はマーカーのカゴを持って、スタスタとあっさり去っていく。

昨日のことは、一切口を開かず。




…話さないつもりかな。




美優と付き合ってること、話さないつもり…なの?



昨日今日の話だし、お互いに同じ部内でのことだから言いづらいことではあると思うし。

別に話せと言っているワケではないけど。

だけど、二人が秘め事を抱えている関係、だと思うと。

またしてもイラッと感じて、嫌な気持ちになってしまった。



(………)



…あぁ、ダメだ。

どうもならないことに、こんなにイライラしていたら。

それに、二人のこと、こんな風に思いたくない。




気を取り直して、その後グランドに戻ってみるが。

やはり、そのことが頭から離れず。

笛を吹いていても、ボール出しをしていても何となく心ここにあらずな状態だった。

まずい。このままじゃミスが出る。

そのことを頭から振り切るように、仕事を見つけてはせっせと体を動かして働くが。

イマイチすっきりしないまま、部活の時間が過ぎていった。