会場が少しざわついた。



誰?って思ってるよね、きっと。


私は、お父さんの腕を引いて、依子の前に立ってもらった。



「目を開けてください」




龍の目隠しから開放された依子は、目の前にいる大好きなお父さんを見つめたまま・・・

動けなくなっていた。



「お・・・とうさん・・・」




「依ちゃん・・・おめでとう。綺麗だよ!」





陽気な音楽がかき消された。




依子の泣き声で。




うわぁーんと子供のように泣いた依子をお父さんは優しく抱きしめた。



龍は、依子の頭を優しく撫でながら、困ったような表情をしていた。