えっ…彩里。ホントに女バスのマネやるの?

体力無さそうだし、やめときなよ…。



そう思い、苦笑いしていると。

急に廊下の方が騒がしくなった。

女子の黄色い声がキャーキャーと。



「…何だろ。急に」



不思議に思って、廊下に視線を向ける。

今度は斗弥子が苦笑いしていた。




「…ほら、あれでしょ。『ミスターのおなぁーりぃー!』みたいな?」

「あっ…」




そうか。そうだ。

そうだったね。




一学期の終わりに開かれた学校祭。

我が星天高校では、男子の人気投票、ミスターコンテストが開催される。

校内女子だけではなく、一般公開の時に訪れたお客さんからの投票で。

見事、優勝を勝ち取ったミスター。





…が、実はうちのクラス、1年3組にいる…。






女子たちのざわめき、黄色い声が一段と大きくなっている。

彼、ミスターがこっちへと近付いてきている証拠だ。




「きゃあーっ!ミスター!素敵ー!」

「こっち向いてー!蓑島くん!」

「はいはいサンキュー。ありがとー」



女子たちの黄色い声援に、多少ふざけて返している。

お調子者だな、相変わらず。




そんな女子の波を掻き分けて、教室にやってきた。




日焼けした肌。天然の茶色の短い髪。

182㎝という身長に、程よくガッシリとした肩。

そして、爽やかさを振り撒いている端正な顔立ち。

目鼻立ちくっきりとしていて整っており、『王子様』というよりは、ワイルドな某ダンス集団の中にいそう。




彼が、クラスメイトであり。

ミスター星天高校。



蓑島(みのしま)悠介、だった。