たしか、別居中のお母さんは妹さんを連れて実家に戻ってしまったんだとか。


どうして彼は、母親についていかなかったんだろう。


さすがに踏み入ってはいけないような気がしたから、それは聞けない。


彼はこの広い部屋でいつも1人きりのようだった。


高校生の彼はそのことを特には寂しがったりはしていないようだけど、こんなときだから私はちょっと心配だった。


彼が困ったときに誰かがそばにいてくれたら、いいのだけど。


だから、私は出来る限りのことをしてから帰ることにしていた。


午前中の数時間は、ハウスキーパーさんに来てもらっているらしいから、炊事洗濯は間に合っているみたい。


だけど、いつもなら彼は自分の部屋は自分で掃除していたようだったから、そこは私がフォローしてあげないとって思った。