手を引かれて電車に乗って何となく離すタイミングが分からなくなってしまい次に電車を降りるまでずっとそのままだった。


繋いだ手の温かさにドキドキしていて、彼にそれを悟られないか心配だった。


暖かくて、スベスベしている大きな彼の手。


その感触を覚えておきたいって一瞬思った。


彼は、さっきの流れでなんとなく繋いだだけかもしれないのに。


深い意味なんてないんだろうし。


だけどどうしよう、いい加減、このくらい慣れなきゃ。


これからもあと1、2か月くらいは彼の右手が完全に完治するまで一生懸命お手伝いするつもりでいる。


こんなことで、いちいち動揺していたら彼のお世話なんて務まらないよね。


よーし、頑張ろ。


気持ちもあらたに、そう自分に気合いをいれていたら繋いだ手を無意識に強く握っていた。


彼が、えって顔で驚いたように私を見つめたから、ぎこちなく笑顔で返した。