「彗さん…」


浜田が怒りと戸惑いを混ぜた顔で俺を見る


「やっぱりシノセは…」

「…お前も来るか、浜田」

「もちろんす」


なんのためらいもなく即答した


「シノセは俺の友達です。俺にとって大怪我してでも守る価値のあるやつです。たとえ彗さんが来るなと言っても行くつもりです。」


…浜田は真っ直ぐ俺の目を見た


浜田にしては珍しい…


電話がかかってきた時のこいつの反応を思い出す





「ま、好きな女のためならそのくらいするか。」


俺の言葉に一瞬驚き何かいいかけたが、ぐっと何かを飲み込み、俺の目をまっすぐに見た


「…はい。それが男ってもんです」





そうか…


それなら俺も…

いや、俺は…


「じゃあ俺は命をかけてでも守る価値がある…かな…」



自分でも相当クサイことを言ったと思う

でも…ここは譲れない

アイツを守るのは俺の役目だ


「…彗さん……」


「今回はトンボがいるから大事をとってあんまり大勢は連れていけない。俺とお前でなんとかできる相手かはわからないけど…行くしかないな」


「俺も行くよ。」


!!





どこから現れたのか海が俺たちを見据えて立っていた

…こいつ話全部聞いてたな


「あの子がピンチなんだろ?それに…面白いこと聞けたから」


は?


「命をかけても守る…ねぇ。お前がそこまで言う子、珍しいじゃん」


…ああ、そうだ

珍しい


だって初めてだから


他人に触られるのがこんなにも嫌で

命懸けでも助けたくて

今すぐ抱きしめたいって思うのが


…だから行こう

今すぐ

助けに。


浜田にも海にも俺の気持ちは伝わっただろ


そしてもちろんあの夏斗っていう男にも



トンボは俺のだって