「ご迷惑をお掛けして、本当に申し訳
ありませんでした。」

納品先に到着して、課長は担当者にきっちりと頭を下げる。

その隣で、私も一緒になって頭を下げた。

「いいんですよ。
こうしてわざわざ引き取りに来てくださった
わけだし。
むしろ、うちで引き受けてあげられれば
よかったんだけどね。
千や二千ならまだしも、四万はねぇ。」

「いえ、全てうちのミスですから。
本当に申し訳ありません。」

何度も頭を下げる課長。

私も頭を下げながら、申し訳なくなってくる。

手配しておいた配送のトラックに1900ケースを積み込むのを確認して、その会社を後にした。


物流センターの倉庫内は、さすがに広くて課長の冷気も影を潜めてたけど、車に戻るとひんやり冷え冷えで、さっき倉庫内でかいた汗が冷えて余計に寒い。

寒いけれど、課長にその溢れる冷気をなんとかしてくださいなんて言えるはずもなく…

寒いのを我慢して我慢して、ようやく会社の駐車場に着いた。

「本当にすみませんでした!」

車を降りて、私は課長に深々と頭を下げる。

すると…

「やってしまったことは仕方がない。
でも、次からは気をつけろよ。」

そう言って、下げた私の頭をくしゃっと撫でた。

その課長の大きな手が、意外にも暖かくて優しくて、私の心の中まで暖めてくれた。

なんだか、不思議な気分。