「ガマンは良くないよ」
こうなれば最後の手段。
無視して歩けばいい話。
同じ学校の生徒から視線を浴びせられる前に、その場を去る。
早歩きで学校に向かおうとしたけれど、もちろん彼から逃げられるはずがなくて。
「このあいだの空き教室にする?
それとも保健室?」
「ひとりでどうぞ」
「あっ、学校外がいい?例えば…」
「そういうの、きもちわるいです」
はっきりと断る。
だって今まで積み重ねてきたものが一瞬で崩れそうな気がして。
「嘘だね」
「……っ」
「もう一度思い出させてあげようか?
恥じらいなんて捨てなよ」
「恥じらいなんてないですから」
「じゃあ真面目じゃなくなりそうで怖いんだね」
この人は、どうして私の心をすべて読み取るんだ。