重い気持ちでいると、前の席で色んな子のヘアアレンジをしてあげていた里奈ちゃんが、珍しくこちらを振り返った。



「あんた、どれ出るのさ」



突然で驚いて、あわあわしたあげく、



「……えと、バレー……」



やっと答えると、眉をひそめられる。



「いや。

わらし、バレーなんかできないだろ」



その通りなんだけど、ぐさ、とささる。


……ていうか、球技はなんにもできないんですが……



「……が、がんばります……」



そう答えると、里奈ちゃんは少し目を見開いて、なぜかふっ、と笑った。



「しかたねえな。

頭貸してよ」



え、頭…?と固まると、無理矢理髪の毛を引っ張られた。


思わず、いた、とつぶやく。


里奈ちゃんは両手にアレンジ道具を持って、にやりと笑った。



「気合い入れた髪型にしてやるから、本気出せよ、わらし!」