明香が、死んだ。
首から血を撒き散らし、その場に崩れ落ちる様は__まったく同じ。
しりとりゲームの世界で絶命した時と、同じだった。
すぐに授業は打ち切りになり、私たちは帰宅を命じられて、誰ともなくファミレスに集まる。
ドリンクバーを頼んだけど、誰も飲み物には口をつけない。
つい昨日までは明香もこの中にいて、しりとりのシミュレーションを行っていた。
頭のいい明香は、率先してアイデアを出していたのに__。
「なんで、あんなことに?」
声を震わせて、響子が言った。
答えを求めていないようにも、答えが欲しいようにも見える。
「まだ、あれがゲームと関連があるとは限らない」
冷静な新田くんの言葉も、今回ばかりは無理がある。
明香はいきなり死んだんだ。
心臓発作とか、目に見えない死因じゃなく、首をなにかに刺されて死んだ。でも、誰かが明香を襲った様子はない。それはクラス全員が目撃している。
「どう考えたって、あいつが殺ったんだろ?」
悠馬が言う『あいつ』とは、頭からすっぽりフードを被った、死神。
しりとりの世界で、死神は失格者の明香を刺し殺した。
しりとりの世界で起こったことは、現実でも起きる。