しばらくして。


「倉内瞳さん、水谷晴さん、2番診察室の前でお待ちください。」

放送が流れた。


2番はだいたいいつも私の主治医がいる診察室。まあそりゃもちろんいきたくないよね。瞳とはべつの意味で。
いや、まあ瞳と同じ意味でももちろん行きたくないけどさ?

私も瞳と同じで病院嫌いなので。でも慣れってあるよ、本当に。
嫌な時間がすぎるのってあっという間だね、診察室から看護師さんが出てきて私たちの名前を呼んだ。


「倉内さん、水谷さん、お入りください。」


2人で一緒なんだ、瞳への配慮なんだろうな。
そう思いながら診察室に足を踏み入れた。


「こんにちは。」

「「こんにちは…。」」


ですよねぇ。

案の定、そこに居たのは私の主治医、遠藤琴美先生。
私を見る目がこわい…。
表情は柔らかく笑っているのに目は全く笑っていない、というかむしろ怒ってる…。

まあ仕方ないんだけどね、私が悪いから…。
でもいやだなぁ…。


「じゃあ晴ちゃんからいこうか?」


こわー!
琴美先生、怖くて逆らえません。私は無言で頷いた。


「まずはこの椅子座ろうか。」


琴美先生とは対面の患者さんが座る椅子を示される。
私、また無言で座っちゃった。
瞳は心配そうな目で見てるし、長谷部先生や田川先生は空気が重いことにちょっと戸惑っているみたい。


「言いたいことはあるけどとりあえず先に診察するよ。制服のリボン外してボタンも上から3つ外して。」


言われた通りにする。


「胸の音、聴くからね。」


琴美先生がそういった後、聴診器が首元からするりと入れられた。

思わず息を止めてしまったけど、


「ちゃんと息吸って!」


と耳元で言われて少し驚いた拍子に息をしてしまった。


「そのまま、すってー、はいてー。すってー、はいてー。そのまま呼吸しててね…。」


ちょっといつもより長いかも…?まあ仕方ないか。