私としても、彼女の素性は早めに知っておきたい

何故って、私の正体がバレてはかなわないから

「それじゃ、一通りの会計の仕事の引き継ぎを花音ちゃんにお願いしよー」

「はい、もちろんです」

にこっと笑って、花音さんは頷く

私は生徒会に所属したことはない

最低限の務めはしなくては

入った以上、迷惑をかけるわけにはいかない

・・・・・・魔術の面でも、傷つけさせはしないと

「とりあえず、この領収書の分を古野先生に提出してください。それと各部活の必要経費のリストがこれで・・・・・・」

他のみんながそれぞれの仕事に就く中、私は花音さんからのテキパキとした指示を聞く

なるほど・・・・・・会計って意外と難しい

要するに、家計簿係か

「決算期には出納のチェックをします。これには私も参加しますから」

「ありがとう、ございます」

「いえ、当然ですよ。気にしないでください」

にこっと笑われ、つられて私も薄く笑みが零れる

花音さんといるとなぜだか安心する。彼女の雰囲気だろうか

まるで全てを丸く包み込むような、包容力を感じる

「今日は特にこれといった仕事はないので、私と同じように他のみんなの仕事を手伝ってください。そうですね・・・・・・碧くんのところに入ってもらえますか?」

「わかりました」

「お願いします。私は乃亜先輩のところにいますから、いつでも声をかけてくださいね」

終始、微笑みをたたえながら花音さんは乃亜先輩の元へ

ちなみに乃亜先輩は今、書類とにらめっこ中

琴葉先輩は大河先輩と書類チェックと打ち合わせのようなものをしている

そして大郷くんは

「何をしてるんですか、大郷くん」