「……菊川さんといたのは、駅で偶然会ったからってだけだから」

「え?」

「双子の兄貴がいんのに、無視するのはおかしいだろ」



そのあとは一華ちゃんを家に帰して、ファミレスで3人で勉強をしていた。と、飛鳥くんは教えてくれた。



……なんだ。そっか。そうだったんだ。




「よかった〜……」


思わず安堵の言葉が漏れてしまって、ハッとした。



急いで口元を押さえ、飛鳥くんをちらりと見る。彼はもう立ち上がっていて、ハンガーにブレザーをかけていた。



聞かれてない、よね?


別に聞かれたらまずいわけではないけれど、なんとなく焦ってしまった。







「……俺にそんな顔、してくれるようになったんだな」




私は飛鳥くんの背中を見つめながら、さっきからドキドキしている心臓の鼓動を押さえるのに必死だった。