“シオンの一日”というタイトルをつけて、自分でまとめたシオンの日課が書かれた紙を見つめながら、今、私は早めに仕事を終えて会社帰りに水城さんのマンションへ向かっている。

水城さんの部屋のスペアキーは、コンシェルジュが預かっていて、そこで受け取ってから部屋に入ることになっている。自分が預かって万が一失くしたりでもしたら大変だ。

「シオンちゃん、ただいまー。お腹空いたね」

水城さんがいないときに彼のプライベートに入り込むドキドキ感を押さえつつ、部屋の明かりを点ける。

ニャオン!

チリンチリンと首輪の鈴を鳴らし、シオンは私を見ると足元へ寄ってきてお迎えしてくれた。

夜景が広がる窓の外をじっと眺め、早くも水城さんが恋しいみたいだった。そんな彼女の気持ちを思うと少し切なくなる。

室温を見て、ちゃんと空調が稼働しているか確認する。夏の間は熱中症にならないように、常時エアコンはつけっぱなしだと彼は言っていた。それに改めて部屋を見渡してみると、細かなものが片づけられていて、シオンがいたずらしたり誤飲したりしないような心配りがなされていた。