私は、その横顔に…。


キスを1つ落とした。



「アン…?」


澤弥は目を見開いて、私を見た。


「今、キスしたよな?」


「ほっぺに…だけどね。」


「お…俺、もう顔洗わない。」


「不潔、ちゃんと洗ってよ。

ってか、口紅べったり付いてるから拭くよ。」


「いや、拭かなくて良い。」


「ダメだってば。」


何とか宥めて、ハンカチで口紅を拭う。



「なぁ、アン。

何で、いきなりキスした?」


「イヤだった?」


「んなワケないって、すげー嬉しい。」


「タクヤが、カッコ良く思えた…なんて、ワインで酔ったかな?」


「はぁ?酔った勢いかよ!」



嘘だよ、澤弥はカッコイイよ。


今のトコ、坂下の…次にね。


待っててくれる?


坂下に囚われた私が、前に進めるようになるまで…。












Fin