「すみません、いきなり過ぎですよね」

恋人とはいえ、勝手に部屋に入られるのは嫌かもしれない。後からそう考えると軽率な発言を後悔した。

「でも、君だって仕事があるだろう? 大変じゃないか?」

「それは平気です。シオンちゃんも知らない所で待っているより、住み慣れた場所のほうがいいですよ、それにシオンちゃんともっと親睦を深めるいい機会かなって」

すると、いつの間にかご飯を食べ終わったシオンが足元にやってきて、私の足に身体を擦り寄せた。

ニャン!

「ハァ、まったくこいつは……君がそう言ってくれるなら、俺は助かるよ」

「はい、気がかりなことがあると仕事にも集中できませんからね」

「君は俺の性格をわかってるみたいだな」

水城さんはようやくほっとしたように笑顔を私に向けた。

よかった。水城さんが笑顔になってくれるなら……。

窓の外を見ると、久しぶりの梅雨の晴れ間が広がっていた。