連絡先の書かれたメモ紙を受け取り、俺も自分の連絡先を書いた名刺を手渡した。

「愛美には水城さんの恋人、“有坂優香”を演じるように言っておきますね、だから水城さんも何も言わずに騙されてる振りをしてください。そうだ、今度のデートに映画なんてどうです? 確か、愛美も私と同じでホラー好きですよ」

初対面でそんなことを言ってのける彼女は、本当に肝が据わっているというか神経が太いというか……しかし、そういう類の人間は嫌いじゃなかった。

「わかった。とにかく、お姉さんが傷つくようなことだけはしないって約束する。巻き込まれるのは彼女のほうだからな。それに、万が一のことがあったら……その時は正直に彼女に話す」

それとなく釘をさすと、彼女は真面目な顔でこくんと頷いた。

「わかりました。どうぞ愛美をよろしくお願いします」

そして、その週末。

俺は有坂優香と瓜二つの“有坂愛美”と会い、やはり彼女の魅力に惹き付けられるのだった――。