私は解放されても、好意から誘拐された瑠璃ちゃんはきっと解放されることなどない。私だけが自由になっても、瑠璃ちゃんが自由にならないと……。

私はギュッと拳を作る。やっぱり、自分から動くしかないんだ。自由になるためには、二人で家に帰るには、私が立ち上がるしかない。

「ねえ、瑠璃ちゃん……」

私は瑠璃ちゃんに話しかける。

「何?」

少し疲れたような声で瑠璃ちゃんは話す。私は少し緊張しながら言った。

「ねえ、一緒に逃げよう。このまま助けが来なかったら、私たち一生縛られるんだよ。そんなの嫌だ」

瑠璃ちゃんならきっと、頷いてくれると思った。瑠璃ちゃんは私よりも長い時間を拘束されている。だからーーー。

「ごめん、そんなの怖くてできない」

「えっ……」

瑠璃ちゃんの言葉に驚き、私は固まる。瑠璃ちゃんは申し訳なさそうに目をそらした。

「逃げようとしたら、きっと殺される。私、死にたくないよ。こんな形でも生かされるならもうどうだっていい……」