…で、話は戻るんだけど、住んでいるところを突き止められたのは痛いよね。


痛いっていうか、ひとり暮らししてるから…。


はっきり言って、怖い。


私は急いでボストンバッグに荷物をまとめ、奴に見つからないうちに、近くのホテルに籠城した。


しばらく籠城…なんて、仕事があったらできるわけもなく、そこから出入りしていたらホテルまで突き止められてしまった。


そうなったら、そこも引き払うしかないわけで…。


他のホテルを探したところで、すぐに突き止められそうで怖かった。


どうしたら、良い?



「和(ヒトシ)さん、助けてよ…。」



私は、首に下げたクロスのペンダントを握りしめながら呟いた。


そんなことを言ったところで、10年も前に死んだ人間が助けてくれるわけがない。


仮に墓から這い出て目の前に現れたら、それはもうホラーだ。



ゾンビの恋人、見るのキツイかも…。


ってか、日本は火葬なんだから、ゾンビじゃなくて骨だけなんだよね。


ああ、ダメだ!


くだらないこと考えて怖さを紛らわそうとしても、全然だし!!