「お、怒ってる?飛鳥くん」


恐る恐る振り返って顔を覗き込むと、ちょっぴりムスッとした飛鳥くんの顔があった。


あ……拗ねたな、これは。




今回のは、菊川くんに言いくるめられたことも理由に入ってそうだ。


なんだかんだ菊川くんも掘田くんも、飛鳥くんが信頼してる大事なお友達なんだもんね。




「よしよし。機嫌なおして?ね?」

「……ん」



ゆっくりと飛鳥くんの背中に手を回して、一瞬だけぎゅっとすると、その効果は絶大だった。





「……え、嘘だろ。飛鳥の機嫌がなおった」

「飛鳥のやつ、小学生の頃から佐藤さんにいろいろ吹き込んでるみたいだよ。あのハグもどーせ吹き込んだんだろ」

「うーわマジか……。つか、この場に人いなくてよかったな。あんな飛鳥見たら他の女子発狂モンだわ」




なにやら掘田くんと菊川くんが話していたみたいだけれど、私はそれどころではなくて。




「本当に機嫌なおった……!」


飛鳥くんのご機嫌取りの新しい方法が成功したことで、次からこの手にしようと誓ったのだった。