「……仕方ない。頑張れ、私」



そう覚悟をして、目の前までやってきた階段に足をかけようとした、そのときだった。




「あれ、佐藤さん?」


どこか聞き覚えのある声。



え?と振り返るよりも先に、私の腕の中にあった荷物がひょいと持ち上げられ、一気に腕が軽くなった。




「き、菊川くん……?」


そこには、飛鳥くんのお友達、菊川くんがいて。



「うわ、これ結構重いね。まさか1人で運ぶつもりだったの?」


意図も簡単に持ってくれてしまった彼は、そう言って「やるね、佐藤さん」と苦笑した。