「鱗を貼る前と後でお酒に強くなったなんて気がしたのは気のせいだから。これからは気を付けて。昨日はあの場に私がいたからいいけど、他でこんなことをしたら誰かにお持ち帰りされるよ」
クリフ様は顔をしかめている。

「も、申し訳ございません」
私は身体を縮めて反省の意を伝える。
・・・・待てよ?

「では、昨夜私は飲みすぎて寝てしまって、クリフ様に持ち帰りをされたーーーということでしょうか?」

胡乱な目をしてみせると「そうではない」とクリフ様が大きくため息をついた。
「楓は私の番なのだから私が連れて帰るのも寝室が同じなのも当然のことだ。だが、何もしてないからな」

「ここに運んでくれたのは?」
「私だ。番を他の者に触れさせるなど言語道断」

「着替えは?」
「オリエッタと共に私が手伝った」

「どうして同じベッドなんですか」
「さっきも言ったが番なのだから寝室が同じなのは当たり前だ」

「何もしてないと言ったのは嘘じゃないですか。たった今寝ている私の顔にキスしてたでしょ。それで目が覚めたんですからね」

「いや、それはーーーまあそのくらい勘弁してくれないか。昨夜は何もしてないし、楓の甘酸っぱい香りに誘われて少し触れたくなるんだ」
クリフ様は気まずそうに視線を下げた。

本当にひとつず突っ込んでやりたい。