「俺の事が怖いならな‼もう俺に近づくんじゃねぇよ‼」

隆之が怒鳴った。

私は思わず身構える。

隆之はチッと舌打ちすると、教室を出ていった。





最後の顔は間違いなく―――――、苦しそうだった。






私はその場にへなへなとしゃがみこむ。

立とうと思うのに、体に上手く力が入らない。

唇をそっと触ると、 隆之からキスされた唇の感触がまだ残っている。

あの頃と全く違う、激しいキス。

「………っ!」

思わず、涙が溢れた。





――隆之が怖かったから。






――隆之を、傷つけたから。





そもそもなんであんなことしたのかも分からない。

「分かんないよ、隆之…!」

誰もいない教室で、私はひとり、なき続けた。