ケータイ小説 野いちご

破滅エンドまっしぐらの悪役令嬢に転生したので、おいしいご飯を作って暮らします

無遠慮なことをしてしまったザックだが、ここまではっきりと意思表示されればアーシェリアスが怒っていることくらいはしっかり伝わっている。

そして、そのスイッチがエビとタコの話だったことも。


(……いや、その前からなんか変だったか)


とりあえず起こせと言われたミッションはクリアしたのでそこは良しとし、けれどここまで怒りを露わにしたアーシェリアスを見たのは初めてでザックは戸惑う。

謝るべきだろうが、どこからが悪かったのか。

布団を剥いだことからか、それとも起こしたことから間違っていたのか。


(考えても仕方ないな)


とにかく謝るべきだという結論に至った時、ふと兄がいつか口にしていた言葉が頭をよぎる。


『これかい? これは僕の小道具さ。いいかいザック。女性は美しい花を贈れば笑顔を見せてくれるんだよ』


女性関係には少々だらしのない兄だが、尊敬すべきところも多い兄。

アーシェリアスが花を好きかどうかは知らないが、ノアもお礼をするのだとプレゼントを探しに出た。


(ただ謝るより、気持ちが伝わるだろうか)


そんなものはいらないと言われるかもしれない。

けれど、それでもアーシェリアスにはしっかりと謝罪をしたいとザックは強く思う。

ザックはドア越しにアーシェリアスに声をかける。


「アーシェ、俺は少し出てくる。ノアも出てるが探し物があるらしい。心配するな」


部屋の中から声は返ってこない。

けれど、聞いているだろうと予想し、ザックは「いってくる」と告げ扉の前から立ち去った。









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