生田さんがいままでと変わらず(復活?)私を待ち構えていた、その日のお昼休み、久しぶりにさっちゃんと、食堂で一緒になった。

いくら出勤する時間が同じでも、担当部署が違うと、なかなか、お昼を一緒に食べることは無いのだ。

「久し振りだよね?」

「ホントだね?」

さっちゃんはビーフストロガノフがあると言って、それを注文していたが、私はヘルシー定食にした。

「あれ、真美がヘルシーメニューって珍しいじゃん?
ビーフストロガノフって真美の好物でしょ?」

確かに、私の大好きなメニューのひとつではある。ただ、昨夜も食べたから、他の定食を選んだ。

「うん。最近高カロリーの物ばわかり食べてたから…
ちょっと控えようかと思って?」

本当は、昨夜生田さんが作ったビーフストロガノフが、まだ冷蔵庫に入っていて、今晩もそれを食べなくてはいけないのだ。
いくら、沢山作った方が美味しいと言っても、二人なんだから、量を考えて欲しいものだ。

生田さんと、一緒に住むにあたってのルールを作ったが、まだ何一つ守られてない。
昨夜、お風呂が空いたと知らせる為に、二階まで上がってきたし…
家以外は別行動と言っていたのに、今朝は犬の散歩について来た。
朝食も、ついでだからとホットサンドを作ってくれた。

どこがついでだ!
まったく…

「木ノ実さん、今夜予定空いてます?」

斜向かいに座っていた、バンケットの女の子が、珍しく声を掛けて来た。

「今夜ですか?」
え? なんだろう…
この子…初めて話すよね…?

「今夜、合コンが有るんですけど、人数が足りなくて…伊之瀬さんと一緒にどうですか?」

えっ?
さっちゃん行くの?

隣を見れば、さっちゃんは笑顔で頷いている。

挨拶くらいしか、交わした事の無い人からのお誘いに?
合コンって、付き合う相手を見つけに行くんだよね?
まぁさっちゃんは、彼氏が欲しいっていつも言ってるけど…
でも、私は無理だわ…
私には必要ない。
それに…

「ごめん。彼(犬)が待ってるから?」

「「えっー!?」」

なっなな、なに?

私の言葉に、周りの人達が異常に反応して、言った私が驚いてしまった。

「真美、いつ彼氏出来たの!?」

さっちゃんの質問に加えて、私を合コンに誘ったバンケットの女の子もとんでもない質問を投げて来た。

「もしかして、木ノ実さんの彼氏って生田さんですか?」

「はぁ? なんでそうなるの?」
何故、ここで生田さんの名前が出て来る?

「えっ? 生田さんじゃないんですか?」

「なんで、なんで生田マネジャーの名前が出て来るのよ!?」

すると、バンケットの女の子は、私達の事が噂になってると言う。