「次は、仮名文字の話!平安時代に漢字を変形して作られた表音文字。平仮名と片仮名があり、平仮名は漢字を崩して、片仮名は漢字の一部を利用してきた。平仮名は主に女性に用いられていたことから女手と呼ばれ、文学がさかんになる元になったんだ。この時代の文学で有名なのは――」

「源氏物語と枕草子だろ。それ以外は、竹取物語や古今和歌集がある」

突然、義昭が答えた。思わず私は感動する。

「そう。源氏物語は、紫式部が書いた。紫式部は、一条天皇の彰子…藤原道長の娘に仕えていたと言われている。枕草子は、清少納言が書いた。清少納言は、一条天皇の妃、定子に仕えていたと言われている」

「…平安時代の貴族女性は、色の違う衣を何枚も重ねて着たことから十二単と呼ばれているんだ。他にもあるけど、平安時代はこの辺にしよう」

私が言うと、義昭は何かを考え込んだ。

「……仮名文字の 小説執筆 流行りけり」

そう言って天くんからもらった色紙に詠んだ句を書く。そして、それを天くんに渡した。