「次は、邪馬台国の話ね。邪馬台国は、日本にあった国。『魏志倭人伝』という中国の歴史書『三国志』のうち、魏――昔の中国の呼び方ね。その魏の『魏志』の中の倭人――中国や朝鮮で用いられていた日本人の古い呼び方のことなんだけど、倭人のことが書かれた部分に記されている」

「倭の女王である卑弥呼を中心に30余りの小国が連合していたらしく、この頃から身分の違いや税の制度、市も開かれていたらしいよ。卑弥呼は、神につかえ、魏に使いを送り金印や銅鏡などを送られたそう。弥生時代はこんな感じでいい?」

「………稲作の 争い起こる 弥生時代」

無表情で句を詠み、色紙に筆を走らせる。義昭は、書き終えると天くんに色紙を渡した。



その日の夜、私は義昭と天くんで夕食をとっていた。

「義昭って何歳?私は17歳で高校2年生!」

「……俺は18歳。高校3年生だ」

「嘘!?大学生かと思ってた。将来は何になりたいの?私は介護士!」

「お前が介護士になったら向こうは迷惑するだろうな」

「ひどくない!?」

私は口に入ったご飯を飲み込んで叫んだ。義昭は「うるさい。黙れ」と冷めた目で私を見た。